はじめに
仕事でモヤモヤを感じた時、多くの人は「このまま続けるか、転職するか」という二択で悩むと思います。
キャリアブレイク研究所 代表の北野貴大さん著『仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢』では、
第三の選択肢としての「キャリアブレイク」が提案されています。
今回はこちらの本の内容を見ながら、キャリアブレイクについて改めて考えてみたいと思います。
第三の選択肢としてのキャリアブレイク
キャリアブレイクとは
キャリアブレイクとは、一時的に雇用から離れる、離職、休職など。キャリアの中のブレイク期間のこと。
日本ではなじみがありませんが、アメリカや欧州では一般的な言葉です。
わたしも49歳でキャリアブレイクを決断したのですが、詳しくはこちらの記事をお読みください。
無職とキャリアブレイクの違い
本書では、キャリアブレイク中の人は、無職=ニートのように労働意欲がない訳ではなく、葛藤しながら人生を思案している状態と位置付けられています。
また、自分の転機を積極的に作るために、雇用からわざわざ離れて人生に向き合っているパワープレイヤーだとも書いています。
わたし自身、キャリアブレイクという言葉はこの本に出会うまで知りませんでしたし。
会社を辞めて、「無職に」なるという事に、多少のうしろめたさのようなものも感じていたのも事実です。
でも、このキャリアブレイクという言葉には力があります。
一般的にネガティブにもとらえられがちな状況を、前向きな人生の選択肢として意味づけられるからです。
キャリアブレイクの4つのタイプ
キャリアブレイクの入り口は人それぞれです。本書では、たくさんの方の体験談もが紹介されていますが、それらを4つのパターンで説明しています。
ライフ型
妊娠や出産による育休、産休。怪我や病気、不安定な精神状態による療養期間。パートナーの転勤や引越しなどライフイベントによって発生するキャリアブレイク
こちらが、もっとも多くの方が経験しているキャリアブレイクの入り口ではないでしょうか。
グッド型
休職や離職の期間を、心身の健康回復と自己理解を深める機会として活用し、よりグッドな状態で働ける環境や働き方を探索するためのキャリアブレイク。
センス型
仕事に追われる日々の中で人生の楽しみを見失ったり、自分の感性を仕事で活かせないと感じている人のためのキャリアブレイク。
一時的に自分の時間を確保し、感性を取り戻しながら、新たな人生の方向性を見出すことを目的としています。
このパターンは周囲から「贅沢な選択」と見られがちで、家族や会社への説明が最も困難とされています。
しかし、誰もが人生の中で少なくとも一度は必要とする大切な時間なのではないでしょうか。
パワー型
海外留学や世界一周旅行、ボランティアに参加したり、趣味に没頭したり、自分の可能性や期待を表現するためのキャリアブレイク。
このように、キャリアブレイクへの入り口は人それぞれ違います。
でも、どの入り口から始まっても共通するのは、日常から一歩離れ、これまでの価値観を一度リセット(ブレイク)して、自分を見つめ直す時間になるということ。
本書を読んで印象的だったのは、キャリアブレイクを新しい未来への準備期間として、前向きに捉えている点です。
キャリアブレイクの期間
キャリアブレイクはあくまで一時的な離職であり、働く環境に戻っていく人がほとんどで、その期間は人によってさまざまです。
短い場合は1〜2ヶ月、半年ぐらいが多く、1年〜2年のケースもあるようです。
キャリアブレレイク中の5段階
キャリアブレイク研究では、500人以上の体験談から、キャリアブレイク中の変化を以下の5段階に分類しました。
- とにかく飽きるまで休む:解放期
- 所属がないことの不安:虚無期
- 本当の自分の声を聴きはじめる:実は期
- 再び社会との距離を探る:現実期
- 自分のキャリアブレイクを定義する:接続期
本書では実際の体験談をもとに、キャリアブレイク中の心の動きを分かりやすく紹介しています。
中でも興味深いのは「実は期」です。この時期になると「実は○○が好きだった」「実は○○をやりたかった」ということを実際に口にする人が多いそうです。
お金の問題
キャリアブレイクで避けて通れないのがお金の問題。本書では7名の方の体験が紹介されており、以下はその内容を簡単にまとめたものです。
■ 7名の準備資金(貯金+退職金+各種手当)
- 114万円~1,100万円の幅がありました
■ 必要経費の内訳
- 税金・保険料
- 生活費
- 活動費
■ 7名の実際の支出総額
- 81万円~380万円の幅 ※実家暮らしか一人暮らしか、過ごし方で大きく変わります
収入がなくなると自然と節約志向になりますが、それがかえって「何にお金を使うべきか」を考えるきっかけになったり、自分の価値観に気づく機会にもなるようです。
わたしが実践している資産形成術について、こちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
キャリアブレイク後の3つのパターン
キャリアブレイク後の進路は、大きく分けて復職、転職、独立の3つがあります。それぞれの特徴についてご紹介します。
復職
仕事から一度離れることで、以前は近視眼的で見えなかったことが客観的に見えるようになったり、自分の気持ちと向き合う中で、本来やりたかったことを再認識し、復職する人は意外と多いそうです。
転職
転職を選ぶ人は、離職中のさまざまな活動や体験を通して新しい興味ややりたいことを見つけ出します。一度すべてを手放したからこそ、本当に自分が求めていた方向性が見え、より納得感のある転職につながるようです。
独立
独立は、離職中に試しに始めた活動が思わぬ方向に発展したり、本来の自分がやりたかったことに気づいたりすることがきっかけとなります。その結果、起業やフリーランスという道を選ぶパターンです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
キャリアブレイクで得られるものは、
- 自己理解の深まり
- 新しい可能性の発見
- キャリアの再構築のチャンス
など、多くあると思います。
本書は、ここで紹介した内容以外にも、さまざまな角度からキャリアブレイクについて考察しています。
また、実際にキャリアブレイクを経験した方のエピソードが多く掲載されています。
現在、仕事で行き詰まりを感じている方や、キャリアブレイクに興味のある方は是非一度手に取ってみて下さい。